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相続・遺言に関するコラム

相続させる旨の遺言と登記~登記を急ぐべき理由!

相続させる旨の遺言

今回は遺言と登記の関係のお話をします。

遺言書で「A(相続人)に××の建物を相続させる」となっているように具体的財産を特定の相続人に承継させる遺言のことを特定財産承継遺言といいます。

例えば、前述の遺言を父がのこして死亡し、父の遺産がこの建物だけで相続人が子Aと子Bの2人だった場合を考えてみます。

法定相続分としてはABが各1/2ずつとなりますが、父が遺言を作っていたので、遺言の内容が優先され、Aが建物を単独で相続する結果となります。

 


 

今までは登記を急がなくてもよかったけど・・・

前記の結果、建物の所有者となった相続人Aについて、建物の所有者となったので建物の名義を父からA名義に登記をしようと思っていましたが、特に急ぐ理由もなかったため、父名義のまま放置していました。
ところが、相続人Bの債権者Xが、BがXに返済をしてくれないため、この建物に目を付け、BがXの法定相続人であり、建物の名義も父のままだったことから、代位登記という方法で建物の名義を父から法定相続割合の持分1/2A・1/2Bと登記して、かつBの持分を差し押さえて登記がされてしまいました。

後日、何も知らいないAは、あるとき建物の登記簿を見て衝撃を受けます。「何でこんな登記がされてるの!?」

実はこれまでは、判例等によって、特定財産承継遺言による承継(××の建物などの特定の財産を特定の相続人〇〇に相続させるといった内容)は、法定相続分を超える部分は登記をしていなくても権利の取得を第三者に対抗できる取り扱いとなっていました。事例にあてはめてみると、Aの法定相続分は1/2で、残り1/2は法定相続分を超える部分となります。つまり、Aは法定相続分を超える1/2の部分について、Aの登記をしなくても、Aは債権者XとBに自分が所有者だから、間違っているBの持分とそれについてのXの差し押さえの登記を消してくれということができました。(※令和1年6月以前に相続が発生した場合)



 

民法改正により、登記を早くする必要が!

ところが、令和元年7月1日に施行された改正民法により、令和1年7月1日以降に相続が発生したものについては、Aは登記なくして法定相続分を超える部分について第三者であるXに対抗することができなくなりました。つまりAが所有者だから間違っている登記を消してといえなくなってしまいました。
(なお、BはAにとっての第三者にあたりませんので、改正後もAは登記なくしてBに対抗することはできます)


あらためて説明すると、法定相続分を超える部分については、その権利を取得した者は、登記を備えないと第三者に対抗できなくなったのです。わかりやすく平たく言うと、「先に登記をしたものが勝つ」という結論に変わったのです。
今回の事例でいえば、父の相続発生後に、速やかに建物の所有者として登記をA名義に変えておらず、先にXの登記がされてしまったのでXの勝ちとなってしまうのです。

したがって、父亡き後、Aが速やかに遺言内容に従って建物の名義をAに移す登記をしておけばこのようなことにならなかったのです。

 

改正の経緯

 

実は改正前においても遺産分割協議により、法定相続分を超える部分を取得した相続人は登記をしないと第三者に対抗できないという取り扱いがされていました。これは遺産分割協議の結果を外部の第三者が知りうることが難しいからという理由がありました。一方、改正前の遺言による承継は遺言書というエヴィデンス(証拠)が存在してるのだから、法定相続分を超える部分につき登記がなくてもいいという考え方でした。しかし、実際、外部の者が遺言書を確認することは現実として不可能に近く、従前から取引の安全を害するという指摘を受けていました。

また、相続の登記を放置していても前記のような遺言の承継による場合にも保護されるということを端に、結果として社会的問題となっている所有者不明土地の作出の一端の原因にもなっているという現実もあります。そこで政策的に法を改正し、登記を促す仕組みに変えたのです。

2020年12月現在、法務省の法制審議会において、そもそも広く相続によって所有者がかわる場合の相続登記の義務化が検討されており、相続登記は義務化になることは間違いないと言われています。

 

まとめ

 

以上のとおり、相続登記を放置すると思わぬトラブルにつながることをご紹介しました。法改正後は、遺言でも遺産分割協議でも法定相続分を超える部分は速やかに登記をすることでトラブル防止になります。

また相続の手続きを放置すると何世代何人も手続きに関与しないといけなくなり、手続きが一層複雑困難となりがちで、手間も時間も非常にかかることとなります。
この機会に相続手続きが済んでいない財産などがないか、もう一度点検されることを強くお勧めいたします。

NAO司法書士法人では、ご相談料無料にて相続に関するご相談を承っていますので、ぜひお気軽にご連絡下さい!

 

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